また会う日まで
船は行ってしまった。地上で見ていた者には、まるで船がすうっと消えてしまったように見えた。
「あっけないわねぇ・・・。」
そう呟いたシシィが涙を拭った。
「きっとまた会えるわ。」
そう言ったのは、ケイリア。彼女はエベロンのエルフだ。シシィ達ドラウの娘達は、彼女とはあまり折り合いがよくない。もちろん表だって喧嘩するようなことは今までなかったのだが・・・。
「そうね・・・。」
ケイリアの言葉に、素直にそう答えられたことに、シシィは自分で驚いていた。このエルフはランフィアのように、自分の力で道を切り開いてきたのだ。ドラウだエルフだという種族の括りが一体何の意味を持つ?大事なのは彼女が仲間であること、それはいつもカーナ達が言っていた言葉だった。
「いつかカーナ達が戻ってきたとき、何もすることがないくらいこの地が平和になっているように、私達ががんばらなきゃね。」
「そうよね。めそめそしていたら怒られちゃうわ。」
エルディーンが肩をすくめて、シシィの肩を叩いた。
「お前達、帰る家はまだあるのか?」
長老が尋ねた。
「ええ、宿屋のマスターがそのまま使ってくれていいって」
「なるほど。では一つお前達に言っておこう。今のお前達にはカーナやリゼルのような後ろ盾は何もない。だが、私はカーナ達に約束した。お前達には目をかけておこうと。とは言っても、それはあくまでも、お前達にそれだけの価値があるならばの話だ。それはわかるな?」
…